
起業の第一歩でつまずきやすいのが
「資金」。
自己資金だけに頼らず、創業融資を正しく活用できれば、立ち上げ後の運転資金に余裕が生まれます。
この記事では、初めてでも迷わないよう、制度の全体像から選び方、融資審査対策までをやさしく整理しました。
創業融資は、開業前後の事業者が設備資金・運転資金を調達するための
公的な融資メニューの総称です。
個人事業主・法人いずれも対象になりますが、要件や必要書類は制度により異なります。
まずは主要な選択肢の位置づけを押さえましょう。
「創業」の扱いは制度ごとに基準があり、開業前~開業後一定期間(例:おおむね2年以内等)を目安とするケースが一般的です。
対象は個人事業主、法人設立直後の会社、業種は飲食・小売・IT・
不動産賃貸など幅広く、資金使途は、店舗事務所物件初期費用・
内装工事・設備機器などの設備資金と、仕入・家賃・人件費・広告費等の運転資金に分かれます。
日本政策金融公庫(いわゆる公庫):
政府系金融機関で、無担保・保証人不要の融資がある。
自治体の制度融資(信用保証協会付きの
信金金庫融資):
信用金庫の融資に都道府県の保証協会が
融資保証を付ける仕組み。
自治体ごとに利子補給や保証料補給あり。
創業ローン(プロパー融資):
銀行・信用金庫が直接貸す、いわゆるプロパー融資。
創業直後はハードルが高めだが、公庫・制度融資で足りなければ
チャレンジする価値あり。
メリット:
金利が相対的に低い
長期返済(通常5年〜7年)
返済据置が可能(半年が原則)
無担保
無保証人の選択もできる
デメリット:
創業計画書の作成が必要
融資面談が必須
審査では事業計画の実現性が厳しく見られる
融資着金まで2週間〜4週間を要する
※綿密な事前準備が必要
選び方は「スピード」「金利・返済条件」「調達額」「地域支援」の4軸で整理すると迷いません。
創業計画書の作成と融資面談が必須で、技術や経験が十分あるか・
自己資金の蓄積経緯・事業の確実性・返済が十分にできるか、が審査重要ポイントです。
開業後でも2年以内ならチャレンジでき、設備資金・運転資金の両方融資可能です。
自治体(区や市町村)が金融機関及び都道府県の保証協会と連携して提供する
融資制度。
自治体から利子補給や保証料補助の優遇があり、公庫より、利払いを抑えることができます。
まず創業計画書を書き上げたら、自治体の担当課で創業計画書の指導を必ず受けます。
指導に従い創業計画書を修正完成させると自治体から斡旋書類が交付されます。
斡旋書と創業計画書を信用金庫に申請し、信用金庫審査のあと、
都道府県の保証協会の審査に合格すると、信用金庫から融資を受けることができます。
地銀または信用金庫が独自にスタートアップ支援のために創業ローンを用意している場合があります。
公庫・自治体の制度融資が合格していると、審査合格しやすいですが、事業規模に対して借り過ぎの場合は否決となります。
物件取得など早急に必要な資金は公庫。
並行して仕入や広告費などの運転資金も補充したいならば自治体の制度融資もダブルで。
まだ若干不足があるならば、地銀信金の
創業ローンにもチャレンジ。
が良策です。
審査の起点は“自己資金”。
金額だけでなく、どう貯めたかの履歴
(通帳の蓄積過程)が見られます。
自己資金は「返済姿勢」と「資金管理力」の裏づけ。
親族からの借入やタンス預金は、証憑や
入金履歴が乏しいと評価が下がりやすいため、早めに口座へ集約し、経路を明確にしておきましょう。
一般に“自己資金の何倍”といった目安が語られますが、最終決定は事業の利益計画と返済原資の妥当性次第です。
無理に満額を狙うより、初年度の売上・在庫回転・固定費に合わせた現実的な額を設定すると通りやすくなります。
金利は制度・地域・属性で変動します。
返済期間は運転資金で中期、設備資金でやや長めになるのが一般的。
据置期間(元金返済を猶予)は、立ち上げのキャッシュ不足を緩和しますが、長すぎる設定は審査上の懸念になることもあります。
内装・機器は設備、仕入・家賃・広告費・人件費は運転と整理。
見積書や契約書、入金サイトを踏まえた
資金繰り表で、資金使途と
時期を具体化しましょう。
要は「数字の裏づけ」と「実行体制」。
読み手が“再現できそう”と感じるかが核心です。
事業概要、ターゲット、提供価値、競合、強み、売上モデル、
初期投資、資金繰り、リスク対策。
まずこの骨格を外さずに。
売上=単価×客数(または件数)×稼働日。
原価率や家賃・人件費の相場は見積書や相見積で根拠を添付。
広告投入→来店・申込→成約のコンバージョンも仮置きではなく、
類似実績や事前予約で裏づけます。
月次の入出金と返済額を同一表で示し、
資金ショートしないことを可視化。
季節変動やオープン遅延の“最悪ケース”でも回る代替策(費用削減・資金追加)を示すと安心感が増します。
飲食なら既存予約・試食会の反応、
不動産賃貸なら稼働率シナリオ、物販なら仕入先与信と在庫回転、IT/SaaSなら先行受注・PoCの有無など、 業種ならではの根拠を添えましょう 。
提出直前に書類を確認します。
表にまとめました。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 基本 | 本人確認書類、開業届(または定款・登記)、許認可証 |
| 取引 | 見積書・契約書・物件資料、仕入・テナントの条件書 |
| 資金 | 通帳コピー(蓄積過程が分かるもの)、借入状況の明細 |
| 税務 | 納税証明書の該当種類、確定申告書や決算書(ある場合) |
| 計画 | 創業計画書、資金繰り表、 返済シミュレーション |
※自治体・金融機関により細目が異なるため、最初の相談時に様式を入手し、早めにフォーマットを合わせましょう。
身元・事業実体・資金使途の三点セット。
特に通帳は“コツコツ貯めた履歴”が重要です。
出所・経路が説明できる形で整えること。
親族支援は贈与・貸付の区分や契約書があると明確です。
納税証明書の種類は複数あります。
案内に従い、必要な号数を取得しましょう。
設立前は個人名義で準備、設立後は
法人名義の書類に切替。
副業開始は本業との時間配分や利益相反への配慮も説明材料となります。
「返済不要の補助金」と「返済型の融資」は役割が違います。
採択されても先払いはできず、事後精算が基本。
自己資金や融資で“つなぐ”設計が必要です。
据置期間や運転資金の厚みを、補助金の入金タイミングと連動させて計画。
支払い証憑の保存ルールも最初に決めておきます。
創業融資は制度選びより 再現性ある計画と証拠づくりが決め手 です。
自己資金の蓄積履歴、現実的な数字、根拠資料、そして面談での簡潔な説明。
この4点を揃えれば、はじめてでも前に進めます。